PMS(月経前症候群)や生理痛など、月経に関する体調不良は、学業・仕事・日常生活など、さまざまな場面でパフォーマンスや生活の質に影響を与えています。こうしたPMSや生理痛の悩みに対し、スマホアプリによる症状の記録や体調管理、オンラインでの専門家相談などでサポートする「フェムテック」が広がりを見せています。
PMSと生理痛、"当たり前"とされてきた女性の悩み

PMSと生理痛といった女性特有の体調不良は、これまで当たり前とされてきました。PMSや生理痛の症状が仕事や生活にどのような影響を与えているのか、さらに、限界を迎えていたこれまでの対処法や改善できるようになった背景について解説します。
よくある症状と仕事・生活への影響
生理痛のよくある症状としては、下腹部や腰の痛み、吐き気、下痢、貧血などが挙げられます。PMS(月経前症候群)の主な症状は、イライラしたり憂鬱な気分になったりといった精神的な症状から、乳房のハリや痛み、疲れや体のだるさを感じるといった身体的症状までさまざまです。
生理痛、PMSともに症状の種類や程度には個人差がありますが、生理痛に関しては女性の約8割が何らかの痛みを感じているといわれており、日常生活にも大きく影響していると考えられます。
仕事面での影響では、2024年2月に経済産業省が発表した「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」によると、月経や更年期症状など女性特有の健康課題による経済損失は、社会全体で約3.4兆円。そのうち、月経に伴う経済損失は約0.6兆円でした。
ここでいう経済損失とは、何らかの症状があるにもかかわらず対策を取っていない層の人数に、欠勤やパフォーマンス低下の割合、離職率などの要素を平均賃金と掛け合わせたもの。多くの働く女性にとって、PMSや生理痛が深刻な課題であることが分かります。

出典:経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」
これまでの対処法の限界
生理痛の対処としては、市販の鎮痛剤や漢方薬など内服に頼る方法が一般的です。そのほか体を温める、マッサージをするなどリラクゼーションによる対策もあります。
しかし、それらの対処法では限界があり、症状が重ければ重いほどQOL(生活の質)は下がってしまいます。
我慢せずに改善できる時代へ
これまで、生理痛に悩まされていた方の多くは「毎月のことだから仕方ない」「生理が終わるまでだから…」と、我慢していた部分もあったのではないでしょうか。
しかし、生理痛やPMSは我慢せず改善できる時代に変わりつつあります。生理痛やPMSについて正しく理解し、ご自分にあった対策を考えてみましょう。
PMSや生理痛が起きる原因と症状

ここからは、PMS(月経前症候群)や生理痛のメカニズム、年代による症状の変化などを紐解いていきます。
PMSはなぜ起こるのか
実は、PMSの原因について、はっきりとは解明されていません。
考えられる原因としては、排卵後の「黄体期」と呼ばれる時期に分泌される「エストロゲン」と「プロゲステロン」という2つの女性ホルモンの影響があります。排卵を境に2つのホルモンが急激に変動することが、PMSを引き起こすと推測されています。
心身に大きな影響を与える、黄体期に分泌される女性ホルモン。たとえば、女性ホルモンのはたらきにより水分が体から排出しづらくなり、むくみの原因になることがあります。むくみによる体全体のだるさだけでなく、その水分が乳房にたまって痛みを感じることや、頭痛につながることも。
さらに、ホルモンのはたらきで、脳内にある物質「セロトニン」が低下すると、気持ちが沈んだりネガティブな思考になったりと、精神的にも不安定な状態になります。
生理痛のメカニズム
生理痛が起こるのは、経血を体の外に押し出そうとする際の子宮の収縮が関連しています。
具体的には、子宮内膜がはがれ落ちるときに出るホルモン「プロスタグランジン」により、体内の臓器の「平滑筋(へいかつきん)」という筋肉が収縮して生理痛の症状が出ると考えられています。
主な症状は腹痛や腰痛で、生理直前から生理が始まって2~3日目に痛みを感じやすいとされています。ただし、痛みを感じるタイミングや症状は人それぞれです。
また、生理痛には以下のような要因が関係しているとも言われています。
ストレス
冷えによる骨盤内の血行不良
プロスタグランジンの分泌量が多い
子宮の出入り口が狭い
個人差は生じますが、要因が複合的に重なることで、生理痛は強くなります。
日常生活に支障をきたすほど生理痛がひどい場合は「月経困難症」やそのほかの病気の可能性も考えられるため、早めに病院を受診しましょう。
年代や体調によるPMS・生理痛症状の変化
PMSや生理痛の症状は、年代によっても異なる傾向があるようです。たとえば20代では、PMSの症状として乳房のハリや下腹部痛、頭痛など主に身体的な症状を訴える方が多く、30代になると身体的症状に加えて精神的な症状が現れます。
精神的に不安定になったり、攻撃的になったりといった30代に多くみられるPMSの症状は、外的要因の可能性も。仕事の責任や忙しい日常生活のストレスが、PMSの症状を一層重くしてしまうという悪循環に陥っていることが考えられます。
若年層の生理痛に関して、初潮を迎えてしばらくは子宮の発達が未熟で子宮口が狭く、生理のときに圧力がかかって痛みを感じやすい状態にあります。
20~30代になるころには子宮や卵巣が成熟。一般的に生理痛が軽くなるといわれています。また、出産時に子宮口が広がるため、産後は生理痛が軽減することも。
一方で、社会に出たり家庭を持ったりとライフスタイルの変化によるストレスや、不規則な生活、偏った食生活などにより、生理痛が重くなる方も一定数います。
40代になると更年期を迎え、閉経が近づくことで、女性ホルモンの分泌が減少して生理痛は軽くなる傾向にあります。
フェムテックで広がる月経ケアの選択肢

月経ケアは、我慢する時代から改善できる時代に変わりつつあります。ここからは、今注目が高まっている、フェムテックやフェムケアについてご紹介しましょう。
フェムテックとは
フェムテック(Femtech)とは、Female(女性)とTechnology(テクノロジー・技術)を掛け合わせた造語。女性特有の健康課題を、テクノロジーの力で解決に導く製品やサービスのことです。
フェムテックのジャンルはPMSや生理痛に限らず、出産や不妊治療、婦人科系疾患などさまざまな女性特有の健康課題に及びます。これまで我慢してきた健康課題に向き合い、すべての女性が健康で幸せな毎日を送るための解決策を提供するツール、それがフェムテックです。
たとえば、月経周期を管理できるアプリで周期を把握して、快適に過ごせるよう準備や対処をする、オンラインの健康相談で受診の心理的ハードルを下げたり、時間の節約をしたりといったことも、フェムテックを利用した解決法です。
フェムテックとフェムケアの違い
フェムテックに似た「フェムケア」という言葉を目にしたことはないでしょうか。フェムケアとは、テクノロジーに限らず、さまざまな方向から女性特有の健康課題にアプローチする製品やサービスのことです。
ただ我慢するのではなく、ヘルスリテラシーを高めることで、自分の心身にあわせた選択肢を選んでいくという前向きな考え方を基にしています。
症状別!フェムテックの商品とサービス

フェムテック・フェムケアの月経ケア製品は、アロマやケア用品から体調管理ツールまで、さまざまなジャンルで展開されています。PMSや生理痛をただ我慢するのではなく、自分の体調をよく理解し、ご自身の心身にあった選択肢を見つけることが大切です。
生理痛をケアするアロマ
生理中の症状を緩和する効果が期待できる、アロマテラピー。芳香療法とも呼ばれ、使用する精油の種類によって、リラックス効果やイライラした気分を和らげる効果が期待されます。
アロマの使い方としては、アロマポットでオイルを焚くだけでなく、入浴時のバスソルトやハーブティーとして取り入れるのもおすすめです。
ラベンダーには頭痛などの痛みの緩和や精神を安定させる作用があり、カモミールには心地よい眠りをうながす効果が期待できます。気分転換として気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。
関連リンク:
フレグランス – FEMTECH LAB
https://femtechlab-online.com/collections/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9
月経全体の管理をサポートするツール
PMSの代表的な症状のひとつ、イライラや気分の浮き沈み。これらは、ある一定の周期で起こる症状です。その気分の浮き沈みを前もって予測して、心の準備やスケジュールの調整をしておくことで、症状の緩和につなげる方法があります。
FEMTECH LABで取り扱っている「わたしの温度®」は、体の状態をデータで可視化して自己管理をしやすくするツール。就寝中に女性特有の温度リズムを自動的に計測し、記録することができます。
使い方は、「わたしの温度®」デバイスを装着した専用ナイトブラを着用して寝るだけ。スマートフォンにダウンロードした専用アプリとデバイスを連携するだけで温度リズムを記録できるので、手間無く、簡単に使用できます。
記録された温度リズムはグラフとして表示され、生理や排卵の予測日のほか、妊娠のしやすさ、体の状態まで一目で確認できます
関連リンク:
https://femtechlab-online.com/search?q=%E3%82%8F%E3%81%9F%E3%81%97%E3%81%AE%E6%B8%A9%E5%BA%A6
トイレに行きづらい職種の人に向く月経カップ
販売職など、休憩時間以外に頻繁にトイレに行きづらい職種の方は、ナプキンからの経血モレや、長時間交換できないことによるムレやかぶれなどの悩みを抱えているのではないでしょうか。そんなお悩みの解決策のひとつが、月経カップです。
ナプキンの代わりに、シリコン製のカップを膣内に折りたたんで入れる月経カップ。ナプキンとは異なり膣内に挿入して経血をためるので、外陰部に余計なストレスを与えず、ムレやかぶれ、かゆみを抑えられます。
約4~8時間と連続で使用できるのは、仕事中ナプキンの交換を頻繁にできない方に嬉しいポイント。
初期費用はかかりますが、5年程度使えると考えればナプキンやタンポンに比べて経済的です。また、使い捨てのナプキンと違い、繰り返し洗って使えるので、環境面にも配慮した製品と言えるでしょう。
FEMTECH LABでも、保管や煮沸洗浄に使える専用ボックスがセットになった月経カップ「クラリカップ」や、月経カップよりも奥に装着する月経ディスク「フルムーンディスク」など、さまざまな製品をご用意しています。
仕事中にナプキンの交換ができない不安や、生理中の不快感解消のため、一度試してみてはいかがでしょうか。
関連リンク:
月経カップ・ディスク・ナプキン – FEMTECH LAB
https://femtechlab-online.com/collections/%E6%9C%88%E7%B5%8C%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97-%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%AF-%E3%83%8A%E3%83%97%E3%82%AD%E3%83%B3?pf_mlt_taipu=menstrual-cup
まとめ
PMSや生理痛は、今やご自身でコントロールできる時代。FEMTECH LABでは、この記事でご紹介した「クラリカップ」や「わたしの温度®デバイス」をはじめ、ご自身の症状にあわせて選べるツールを豊富に取り扱っています。
また、オンラインで気軽に医師や薬剤師のカウンセリングが受けられるサービスも提供。フェムテックに関連するセミナーや体験型イベントも開催していますので、PMSや生理痛にお悩みの方はぜひ一度、FEMTECH LABにご相談ください。
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