不妊治療・体外受精を専門とする「よしひろウィメンズクリニック」が、新たな取り組みとして「看護師外来~こころのサポート~」を2025年5月よりスタートすることが発表されました。
2022年より不妊治療の一部が保険適用されたことで、治療を受ける選択肢は広がったものの、不妊治療中の「心」における問題として、体外受精等の不妊治療初期の段階にもかかわらず、軽度以上の「抑うつ症状を抱える人」の割合は54.0%にのぼるという調査実績も公表されています。(出典:国立成育医療研究センター「体外受精等の高度不妊治療を受ける女性のメンタルヘルスを対象とした日本で唯一の疫学調査(2021年)」)
「治療の出口が見えない」「孤独感や不安に押しつぶされそう」といった、"見えない痛み"を抱える患者の声が後を絶たない状況を受け、同クリニックでは身体だけでなく"心"のケアにも光をあてるべく、看護師による心理的サポート「看護師外来~こころのサポート~」を新たにスタートしました。
以前から「共感し合える"語りの場"がほしい」という声も多く寄せられており、治療に伴う迷いや不安を言葉にし「共有・対話」ができるこの外来は、患者からの期待も高まっています。
同クリニックでは2024年夏に、治療中の患者16名を対象に座談会を実施、不妊治療に伴う「孤独感」や「心理的ストレス」を語る声が多くあがる結果になりました。
患者の半数以上が「不妊治療による孤立感・友人関係の断絶」を経験し、約60%(10名)が「安心して語れるコミュニティの必要性」を訴え、約35%(6名)が「治療中に寄り添うカウンセラーの存在」を希望していることが明らかになりました。
「治療の経過や結果を周囲に話しづらくなり、SNSや友人関係を遮断してしまう。」「パートナー以外に話せる人がいない。」このような"孤立化"が、治療の継続意欲や精神的安定に大きく影響しているという実態が浮き彫りになりました。
婦人科看護師・保健師/セラピスト井上かおり氏は、自らの経験を通じて、治療中に感じる孤独や不安、焦りといった"こころの揺らぎ"に丁寧に寄り添うことの重要性を実感し、「安心して思いを話せる場所を院内に設けたい」と語ります。
「一人で抱え込みがちな想いや葛藤を、否定されることなく受け止められる対話の場をつくることで、患者さんが少しでも前向きに、治療と向き合えるよう支援したい。」このような想いから、医療的なサポートだけでなく、心理的な安心感を届ける取り組みが始まりました。
"こころのサポート"の一環として、井上看護師による「ハーブボールワークショップ」も昨年より定期的に開催。温熱療法とアロマテラピーを組み合わせた、香り豊かで温かなハーブボールは、心と身体の緊張をほぐし、深いリラックスをもたらすとして、参加された患者から高い満足度を得ています。

同クリニックでは、患者のリアルな声を起点に、心身両面のケアを統合したサポート体制を構築。日常のちょっとした不安から治療に対する葛藤まで、安心して話せる"対話の場"として「看護師外来~こころのサポート~」はスタートしました。
今後は1対1の相談にとどまらず、グループ対話の場や外部専門職との連携も視野に入れながら、より包括的なケアを目指していくとしています。
妊活 – FEMTECH LAB