運動を生活の一部としていたアクティブな女性たちが、妊娠・出産を機に運動を断念せざるを得ない——そんな現実が、多くの女性を取り巻いています。
厚生労働省「国民健康・栄養調査」(2021年)によると、運動習慣のある20~40代女性の割合はわずか20%ほど。さらに、スポーツ庁「スポーツの実施状況に関する世論調査」(2022年)では、出産・育児期に運動実施率が大きく低下する実態も報告されています。
今回は、運動をしていた女性たちを調査対象に「なぜ運動を継続できなかったのか」「再開を阻む障壁は何か」を明らかにすることで、背景にある社会的・心理的・環境的な課題を考察しました。
株式会社WISが実施した調査では、妊娠前に週1回以上の運動やスポーツ実施の習慣があり、現在0~6歳の未就学児を育てる産後女性145人の運動継続状況が明らかになりました。
調査結果によると、約57%の女性が妊娠初期に運動を中断し、妊娠後期まで継続できたのはわずか29%でした。運動中断の主な理由として「体調不良(56.6%)」が最も多く、「赤ちゃんへの影響・安全面の不安(48.2%)」「運動していいか不明だった(27.7%)」が続きました。妊娠中は、ホルモンバランスの変化による体調不良が起こりやすく、思うように身体を動かせないことで運動を中断をせざるを得ない女性が一定数いること、また、正しい情報や安心して通える環境の不足が中断につながっていることを示しています。


妊娠中の運動継続には「ストレス解消(53.2%)」「家族や周囲の理解・協力(51.6%)」「健康維持(48.4%)」が重要な要因として挙げられました。また、継続に必要な支援として「専門家によるサポート(50.3%)」「運動方法に関する情報(45.5%)」「妊婦が利用しやすい施設(44.1%)」が求められています。
これらの結果から、妊婦が身体的・心理的に安心して運動を続けるためには、個人の意欲や体調管理だけではなく、家族の協力や社会的な支援体制が不可欠であることが読み取れます。

続いて、産後の運動再開時期を調べました。
産後については、約67%の女性が運動を再開した一方で、3人に1人(33.1%)が断念していることが判明しました。断念理由として「時間が取れなかった(93.8%)」「子どもを預けられなかった(60.4%)」が圧倒的に多く、育児と運動の両立の困難さが浮き彫りになりました。

産後の運動再開に成功した女性の要因として「家族、周囲のサポート(60.8%)」「ストレス解消(49.5%)」「健康維持(47.4%)」が挙げられ、必要な支援として「子どもの預け先(60.0%)」「時間の余裕(59.3%)」「子連れで行ける施設(53.8%)」が求められています。

妊娠・出産は多くの女性の運動習慣を中断せざるを得ない要因となっており、「体調不良」「情報不足」「子どもの預け先の確保が困難」といった課題が主な理由として挙げられました。
一方で、運動の継続や再開に不可欠なのは、「周囲の理解と協力」「専門家によるサポート」であることも明らかになりました。
こうした環境の整備こそが、子育て世代の女性が安心して運動を継続するための鍵となります。同社では、産前産後の女性の運動継続をサポートする「産前産後コンディショニング」サービスを提供し、専門家による多職種連携体制で安全第一のサポートを実施。また、「産前産後アスリートサポートスペシャリスト®養成講座」を開催し、専門人材の育成にも取り組んでいます。
妊活
調査概要
調査名 :産前産後の運動/スポーツに関する実態調査
調査期間:2025年2月27日~2025年3月31日
調査対象:妊娠前に週1回以上の運動やスポーツ実施の習慣があり、現在0~6歳の未就学児を育てる産後女性
調査方法:インターネット調査
有効回答:145件
調査主体:株式会社WIS
結果詳細:Part 1(妊娠期):https://note.com/wis_mom/n/nec26236612e0
Part 2(産後期):https://note.com/wis_mom/n/n95cc94814cdd
産前産後の運動/スポーツに関する実態調査・株式会社WIS調べ