あすか製薬株式会社は、主に民間企業・団体における「働く女性」の環境や周囲の理解度、特に女性特有の健康問題に関する取り組みの有無や障壁などに関して調査を実施しました。
2024年12月、厚生労働省は女性活躍推進法に関して、「いまだその役割を終えたといえる状況にない」として、本法律を延長する改正案を国会に提出することを決定。また、男女間の賃金格差と女性管理職比率の公表義務を、現行の従業員301人以上企業から同101人以上の企業に拡大するなど日本国内の「働く女性」が直面する課題は多い状況といえます※1。


そこで、20~50代の男女800人にインターネットリサーチを行ったところ、女性活躍推進法に基づいた取り組み状況について、「行っている」と回答した人は33.3%であり、「行っていない」が37.0%で最多となりました。管理職・性別でみると、男性・管理職「行っていない」が約5割(49.0%)、女性・管理職では約3割(34.0%)という結果に。取り組みに関して男性の方が後手になっていることがわかります。
また、女性特有の健康問題に関する取り組みを「行っている」と回答した人は約2割(21.0%)で、「行っていないが、行う予定がある」(5.6%)を合わせても「行っている・または予定がある」は、3割未満(26.6%)となりました。管理職・年齢でみると、管理職の年齢が高いほど実施率が低く、45歳以上のいわゆる「ベテラン層」における「女性特有の健康問題」に関するリテラシーを高めることが全体的な実施率の向上に繋がると考えられます。

また、女性特有の健康問題に関する職場での配慮に関して、「配慮されていると思う」と感じる人は約4割(39.1%)という結果に。職場では雇用主、従業員同士がそれぞれ「女性特有の健康問題」に関して一定の配慮はしながらも、女性特有の健康問題に関する取り組みを、実際に行動まで起こしている企業はまだまだ少ないようです。

続いて、女性特有の健康問題に関する取り組みを行う予定はない理由について聞いたところ、「女性社員がいない・少ない」が28.0%、「どのような取り組みをすればよいかわからない」が15.2%、「健康経営を導入しなくても、会社の生産性には問題がないから」は、8.4%となりました。また、理由に関して「知らない・わからない」と回答する人が4割(40.0%)で最も多く、女性特有の健康問題に関して取り組みを行わないこと自体に疑問を抱かない人が一定数いる、更にはそもそも女性社員が少ない・いないなどの現状も明らかとなりました。男女共同参画社会の実現に向けて、性別や年齢・役職を超えて、関心・理解を高める必要があると言えます。
実際、世界に目を向けると、日本のジェンター・ギャップ指数(GGI)は146ヵ国中118位で、特に「政治」と「経済」においてジェンター・ギャップが大きい状況となっています※2。日本のジェンター・ギャップを特に経済活動で埋めていくためには、性別・年齢関係なく働きやすい環境を企業側が整備し、従業員一人ひとりの意識変革を行うことが重要です。


最後に「女性特有の健康問題に関して、自身が理解できていると感じているか」と聞いたところ、「理解している」と回答する人は全体の約6割(61.9%)でした。男女別にみると、女性は約7割(69.0%)が理解しているのに対し、男性は約5割(54.8%)と14.2%少ない結果に。さらに理解意向に関しては、男性の約4人に1人(24.5%)が理解したくないと回答しました。

また、職場での「女性特有の健康問題」に関する課題については、「健康問題を抱えていそうな女性がいても、自分からは話題にしにくい」が約3割(31.4%)で最も多く、次いで「健康問題を抱えていそうな女性に対し、どう対応すればいいのかわからない」が28.6%、「どんな健康問題があり、どんな症状があるのかがわからない」で23.0%という結果となりました。
さらに、一般職・35~44歳の女性でも、「業務に支障を来たすほどの症状なのかがわからない」を課題に挙げる人も約2割(22.0%)おり、女性であっても自身の健康問題・コンディションを判断する材料が少ないと感じる人が一定数いることがわかりました。職場での女性活躍を推進し、男女共同参画社会を実現させるためにも、まずは女性特有の健康問題に関する職場での理解度を上げ、環境を整えることがカギであると言えそうです。
※1 内閣府男女共同参画局「資料1 女性活躍の更なる推進に向けて」
※2男女共同参画局「男女共同参画に関する国際的な指数」より(2024年データ)