「防災意識」に関する調査結果 防災費用「理想と現実」で依然2倍の差

株式会社インテージは、全国の15歳から79歳の男女5,000人を対象に実施した「防災意識」に関する調査結果を公開しました。調査は、7月30日(水)のロシア・カムチャツカ半島付近を震源とした地震発生より前に実施されています。

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株式会社インテージは、全国の15歳から79歳の男女5,000人を対象に実施した「防災意識」に関する調査結果を公開しました。調査は、7月30日(水)のロシア・カムチャツカ半島付近を震源とした地震発生より前に実施されています。

調査によると、過去1年における1人あたりの防災対策費用は前年より微増し、2,892円でした。しかし、今後かけたい費用は5,473円(前年比95.2%)と、2023年の調査開始以来初めて、前年からの減少に転じました。「実際の費用の約2倍」という差も依然埋まっていない状況です。この要因として、物価高騰の影響や、2024年初頭の能登半島地震後に上昇した防災意識が徐々に薄れていることが考えられます。

なお、インテージでは、2024年2月・8月に緊急調査も実施。結果、それぞれかけたい費用が5,674円・5,930円と高水準を示していました。特に昨年8月は一時的に伸びを見せており、南海トラフ地震臨時情報発令による影響と見られます。しかし、今回の調査ではそこから450円余り減少する結果になっており、防災意識の揺らぎを裏付けている結果と言えるでしょう。


防災費用の支出変化の裏付けともいえる「実際の対策状況」にも、変化が見られます。家庭で何らかの防災対策を実施している人の割合は51.8%に達し、過去最高となりました。「分からない」もわずかながら減少を続け1割を切る形で減っています。前年からの大きな伸びはありませんが、経年で比較すると一定防災対策が進んだ様子がうかがえます。

続いて男女別で見たところ、男女とも防災対策への関与は増加傾向ですが、特に女性の積極性が見られます。女性は「主に自身が防災対策をしている」割合が年々上昇し、2025年には30.1%に達しました。一方、男性は受動的傾向が続いていることが読み取れます。対策が女性主導で進んでいることが明らかになりました。

家庭での防災対策が広がる中、具体的な取り組みにも変化が見られます。2025年は「簡易トイレ」の準備が前年比123.6%と大幅に増加し、断水や避難生活への備えが強化されています。また、「避難所を確認・家族で共有」(108.5%)や「生理用品」(108.4%)、「持病の薬・常備薬」(104.1%)など、家族構成や健康状態、生活環境など個々の事情に応じた備えや配慮、いわゆる“個別ニーズ”への対応も進展。さらに、近年の猛暑を背景に、「冷房がきいた施設での高温対策」(107.8%)や「緑のカーテンによる暑さ対策」(104.1%)など、熱中症予防の取り組みも広がっています。猛暑対策や防災訓練への参加も増加傾向にあり、災害の多様化に応じた備えが浸透しつつあるようです。

しかし、具体的な対策が広がる一方で、防災への自己評価には依然として課題が残ります。最後に、防災対策に関して生活者自身はどう思うのか、見ていきましょう。今回の調査では「できている」と自信を持って答えた人はわずか1.8%にとどまり、前年と比較してもほぼ横ばいです。「できている」「どちらかといえばできている」回答者の合計は増えていますが、「できていない」「どちらかといえばできていない」と感じている人も前年より増え、全体の43.2%を占めました。対策の実施率が上昇する中でも、自身の備えに不安を抱く人が多いことは、情報不足や対策の質への懸念を示しています。今後は、対策の「見える化」や、達成感を得られる仕組みづくりが必要でしょう。

それでは、防災対策が「できていない」と感じる背景には何があるのでしょうか。複数回答で理由を聞いたところ、最多は「実感が湧かず優先度が低い」(42.1%)で、災害の非日常性が備えの後回しにつながっていることが分かります。次いで「何から始めればよいか分からない」(40.3%)、「費用が高くて難しい」(30.6%)、「備蓄スペースが足りない」(27.8%)など、知識・経済・住環境面でのハードルも顕著でした。これらの課題を解消するには、身近で分かりやすい情報提供や、手軽に始められる対策の提示、いわゆる“スぺパ”の良い商品やサービス提供が鍵となるのかもしれません。


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インテージのネットリサーチによる自主調査データ

調査地域:日本全国

対象者条件:15~79 歳の男女

標本抽出方法:弊社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信

標本サイズ:n=5000 ※国勢調査にもとづき性別・年代・地域を母集団構成に合わせて回収

調査実施時期: 2025年7月24日(木)~7月28日(月)

《FEMTECH LAB編集部》

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